三月。道端でイタドリを見つけた。
イタドリはいわゆるパイオニア植物の一つとされている。火山噴火で全てが灰燼に帰した土地にも生え、生態系の礎を作るという。
何となく気になって同じ道を通るたびに覗いていた。
九月には花が咲いた。意外と可憐な花だった。
もう少し待てば種子ができるだろうと思っていたら、十月半ばに刈り取られてしまった。散発的ではあるが観測をしていたので少々寂しい。
跡地を探したら花穂が落ちていた。種子が実っている。
拾って自宅で育てることにした。コーヒーフレッシュ容器を加工した鉢に播いた。
十一時と一時の位置にあるのが、イタドリを播いたコフレ鉢。うまくいけば春に芽を出すだろう。
後日、定点観測をした場所を通ったときに思わず足を止めた。
刈り取られたところから早くも再生している。
思ったよりも早い再会に拍子抜けしたものの、わたしはこういうのを求めて身近な植物の観察をしている。植物は根から再生したり、種子あるいは胞子から新生することで何度でもこの世に戻ってき続ける。植物にとってこの世とはそこまでして戻ってくる価値がある場所なのだろうか?理由はわからないがきっとそうに違いないのだと思う。
このイタドリの場合、来年の春まで再生を待ってもよかったのではないかと思ってしまう。だが実際には本格的に寒くなるまでの隙を突くように再生を始めた。なぜそうまでするのか。イタドリ自身にもそれはわからないのかもしれない。