ランパントリウム

植物とおどろう

アリとガラス片

 道路を歩いていたら変わったものを見つけた。アリの巣のまわりに緑や茶色のキラキラしたものが散らばっている。

 どうやらガラス片のようだ。ここだけでなく近くの別の巣にもあった。

 アリがガラスを噛み砕いて運んだということは有り得そうもない。土に大量のガラス片が混ざっており、アリが巣を広げるときに掘り出したと考えるのが自然だ。

 調べたところ、舗装に廃棄ガラスを混ぜるカレット舗装という工法があることがわかった。キラキラ光ることで夜間の視認性を上げる効果があり、ガラスの再利用になるという。この道路がカレット舗装かまでは分からなかったが、仮にそうだとすると複数のアリの巣にガラス片があったことは納得できる。

 アリたちにとって住み心地はどうなのだろう。キラキラして落ち着かないだろうか。しかしガラスは小石や砂と同じケイ素で出来ている。それに巣の中は真っ暗だから見た目も関係ない。人の目から見ると異様だがアリはあまり気にしていないかもしれない。

妖精

 ベランダに自然に生えてきたヤブソテツを植え替え、ミニ鉢植えや寄せ植えにするなどした。

 ここは地上数階なので被子植物のタネが飛んでくることは少ない。シダの胞子は軽いせいかここまで飛んでこられたようだ。まるで妖精のように思える。

 数年前のエントリーでこのベランダを「空っぽのプール」と表現した。そんな場所にも自ずから訪ねてきてくれる生き物がいるのはありがたいことだと思う。

水底

 ささやかなビオトープを作った。容器の容量は8リットル。

 水と土だけを入れてある。生き物が外から来るのを待つタイプのビオトープにした。

 土入り植木鉢を置いて浅瀬にした。

 異なる環境が隣り合う中間地帯のことをエコトーンと言う。浅瀬は陸と水のエコトーンだ。ビオトープに生き物を呼ぶにはエコトーンの造成が重要なのだと言う。

 水を通して見る底土はとてもきれいだ。空気と水とで何故これほど見え方が変わるのか分からない。この水底だけでビオトープを作った甲斐があると思える。

ミニ枯れ野

 ミニ空き地の冬の姿。枯れ野のミニチュアのようになった。

 以前の姿↓

https://rampantrium.hatenablog.com/entry/2023/03/23/215256

 冬枯れの野原を見るとなぜか家が恋しくなる。べつに冬の野原で寂しい目に遭ったことなど無いはずなのに。不思議なので世界七不思議に取り入れてほしい。

金色

 室内で育てているシダの続報。

https://rampantrium.hatenablog.com/entry/2022/10/06/222445

 フレボディウム・ブルースター(和名ダイオウウラボシ。南アメリカ原産)は葉が大きくなった。青みがかった中間色でおしゃれ。

 茎の育ち具合を見たかったので、鉢を使わずに根洗いとして育てることにした。

 古い鉢から抜いたときの様子。根鉢が全く崩れず、鉢の形を保存している。このまま受け皿に置いて育て始めた。

 もともと着生植物なのでこの方法にも適応できている。受け皿は伸びた根に覆い尽くされてしまった。

 金色のモジャモジャに覆われた茎が葉に負けない存在感を放つ。このモジャモジャの正体は鱗片で、三角形の薄片状になっている。

 茎と根が伸びて根鉢がマリモみたいになる日を待っている。葉と茎どちらも楽しめてお得なシダである。

呼び声

 今年も残り数時間になった。どんな庭を作りたいのか考えた一年だった。

 造園と少し違う場所から庭を見たくて「自宅で湿地帯ビオトープ生物多様性を守る水辺づくり」(大和書房)を読んだ。

 ビオトープは生き物が自分から住み着いてくれるように作る。コツさえ掴めばそう難しくないのだと言う。そのことを知って希望を感じた。適切な呼び掛けをすれば虫や草木は向こうからやって来てくれる。

 今まで何度か庭に苔を呼ぶのを試した。まだ安定して呼ぶ方法は見つからない。これからは苔以外にもいろいろな生き物を呼び寄せる庭にしていきたい。その過程できっと苔も来てくれる。

 それから、自分はそういうことに希望を感じるのだということが改めて分かった。分かったというより思い出したという方が近いかもしれない。なぜ忘れていたのだろう。何に価値や意味を認識するのか、自分でも案外分からないものだと思う。

 忘れている大事なことがまだたくさんある気がする。それに付属する、忘れてしまった理由を思い出すのはちょっと大変そうな気がする。しかし今はとりあえず年越しそばが優先される。来年ぼちぼち思い出していこう。それでは皆さま、よいお年を。

スミレが落下した話

 前回のエントリーに書いたスミレの続報。ハプニングが発生した。

https://rampantrium.hatenablog.com/entry/2023/12/04/210000

 風が強い日に棚から落下した。土が半分どこかに行ったため実質的に植え替えしないといけなくなった。本来はこの時期に植え替えてはいけない。

 植え直してから二重鉢にした。元に戻すだけでは根が寒さに耐えられない恐れがある。二重鉢なら北風が根に直接届かない。

 寒風の中で転がっている鉢を見たときは血の気が引いた。来年は鉢の転落防止策を考えよう。