ランパントリウム

植物とおどろう

シェフレラ

 同じ植物でも野生のものと人に管理されたものとでは姿が違ってくる。なかには野生の姿が半ば忘れられた植物も存在している。

 今年の一月に斑入りシェフレラを買い求めた。緑と斑のクリーム色のコントラストがうつくしい。

 剪定して外で育てたところ、お釣りが来るくらい伸びた。

 シェフレラは和名をヤドリフカノキと言うが、その名で呼ばれることはほとんどない。亜熱帯産だけども耐寒性があり、軒先でも大きくなる。ときには屋根より高くなるほどだ。巨大化したシェフレラを見ると逞しさや健気さを感じるし、感動すら覚える。ところで人工的に栽培されたのではない野生のシェフレラは、どんな生活を送っているのだろうか。

 野生のシェフレラの情報は少なかった。観葉植物として普通過ぎるから需要がないのだろう。調べたところ、野生のシェフレラは周りの木に気根で絡みついて伸びていることがわかった。ヤドリフカノキの「ヤドリ」とはこの生態を意味していたのだろうか。ジャングルでは木に絡みつく木は珍しくないけれど、観葉植物としてのシェフレラからは想像しづらい。建物が林立する多湿な日本の街は、故郷に近い環境なのかもしれない。そんなことを考えて街のシェフレラを見てみると、建物に寄りかかるような場所にあるものほど大きく育っていることに気づく。ジャングルの中は風が弱いから、風を遮るものに近い方が調子がいいのだろう。

 剪定した斑入りシェフレラの枝を水挿しにしたところ、旺盛に発根した。

 鉢に植え替えても根がどんどん伸びていく。通常の根も気根に近い性質があるのか、鉢からはみ出していく。幹からは気根も生えてきた。

 野生の状態を再現して育てるのはサイズ的に難しい。しかしこの根の魅力を引き出す見せ方がないか思案してしまう。