ランパントリウム

植物とおどろう

カモフラージュ

 こんばんは。

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 突然ですが、この写真に映っているものは何でしょうか?

 抽象絵画でしょうか。衛星写真でしょうか。



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 答えは「地衣類」です。カビやキノコと同じ真菌類で藻類と共生しています。

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 少し離れるとこのように見えます。コンクリートの汚れのようですが、ツブダイダイゴケという種類です。光合成をして生きています。

 街なかで苔を探していると地衣類に出会うことが多く、写真も少しずつ溜まっていきました。苔と似て非なる生き物、地衣類の世界をちょっと覗いてみましょう。


 これは木製のベンチに生えた地衣類です。

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 ツブダイダイゴケと比べると厚みがあり、かなり生き物っぽさがあります。枝状のものが生えていることからヤマトキゴケだと思われます。


 地衣類はときに物体を覆い尽くしていることがあります。

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 街路樹の支柱。ロープまで地衣類に覆われ、灰を被った後のようです。種類はわからないのですがキウメノキゴケかもしれません。


 樹上にいる地衣類で目立つのはウメノキゴケの仲間です。海藻のように縁が波打った形をしています。

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 桜の枝に生えたナミガタウメノキゴケです。

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 こちらもナミガタウメノキゴケです。ネムノキの幹にコロニーを作っています。

 地衣類は樹から栄養を奪っているのではありません。貼り付いているだけです。


 地衣類は至る所にいます。駐車場の壁や街路樹の幹など身近な場所に生えていて、一度存在を意識すると「え?これ全部生き物なの!?」という気持ちになります。見えていても気付かれない、ドラえもんの石ころ帽子みたいな生き物です。探す場合、まずは「コンクリートの汚れや樹皮の模様を見たら地衣類の存在を疑う」ことから始めると良いと思います。

 種類の同定にはこの本を参考にしました。

https://www.bun-ichi.co.jp/tabid/57/pdid/978-4-8299-8132-0/Default.aspx