ランパントリウム

植物とおどろう

イチョウのうろ

 街路樹の周りではいろいろな生き物が暮らしている。虫や鳥はもちろん他の植物が住み着いていることもある。

 このイチョウのうろ(樹洞)にはシダが生えている。

 種類はイヌワラビとイノモトソウの仲間のようだ。うろに土が溜まるなどして天然の植木鉢になっている。イチョウが強剪定されているために日当たりがよくなっているのは、ちょっと皮肉な話に思える。

 しかしイチョウもいつまでも軒先を貸しているばかりではない。うろは折れた枝が腐って空洞化したものなので、木はうろを塞ごうとする。これは同じイチョウの去年の冬の写真。

 うろのフチが厚く盛り上がっている。樹皮が成長し、左右から巻き込むように塞ぎ始めているためだ。このままだとうろは閉ざされ、したたかなシダの命運は尽きる。とは言え完全に閉じるにはまだ何年もかかるだろう。

 三年後くらいにまた続報をお伝えしたい。