ランパントリウム

植物とおどろう

すみれの閉鎖花

 すみれに閉鎖花ができてタネが実った。

 閉鎖花は自分の花粉で受粉する特殊な花で、名前の通り花としては開かない。開くのはタネを弾けさせる時だけだ。すみれが閉鎖花をつけるのは本で知っていたが、育つのを見るのは今回が初めてだった。

 五月の中頃、閉鎖花が生えてきたのに気づいた。通常の花はすでに咲き終わった後だったし、花弁らしきものがないから閉鎖花だろうと思った。通常の花は実を結ばなかった。すみれにはよくあることらしい。

 膨らむ閉鎖花。花の段階を飛ばし、ツボミから直接果実へ変わっていくように見える。

 成長中の閉鎖花は下を向いている。いつ開くのかと思っていたら、一晩のうちに向きが変わって三つに開いていた。植物が劇的に姿を変えるのはなぜか夜明け前が多く、不思議に思う。

 放っておくとタネが弾けてしまうので摘み取った。九月ごろに播くのがいいようなのでそれまで保管することにした。