ランパントリウム

植物とおどろう

苔呼びマニュアル試作型

 こんばんは。昨日は強い台風が来ましたが、皆さんはご無事でしょうか。こちらはほぼ被害なしで乗り切ることができました。植物も室内に取り込んだので大丈夫でした。


 器と土を用意し苔が生えてくるまで待つ行為を「苔を呼ぶ」と呼んでいます。まだ研究中ですがいろいろな人に試して欲しいのでやり方を記すことにしました。


○はじめに

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 空気中を漂う胞子が湿った場所に落ちると、発芽して苔が生えてきます。生えてくるまでに淘汰をくぐり抜けているため枯れにくい苔が得られます。この方法を思いついたのは偶然です。ウェルウィッチアの栽培方法を調べていたら鉢いっぱいに苔が生えた写真を見たのです。植え替えをせず常に鉢底から給水しているとそうなるとのことでした。

 私は苔を「人類には飼えない生き物」だと思っていました。苔は環境に深く食い込んでいて、人の手で生育環境を再現するのは無理だと感じていました。ですが、湿った場所を用意して後は胞子の機嫌に任せるのなら大丈夫な気がしました。

 生え揃うまでに時間がかかるのですぐに楽しみたい人にはお勧めできません。待ちきれない人や欲しい苔の種類が決まっている人には完成品の苔テラリウムがお勧めです。

 では、置き場所や必要なもの、世話の仕方などを解説していきたいと思います。

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○置き場所

 太陽光と風の直撃を避けるようにします。太陽光よりは風に気をつけましょう。乾燥により苔がダメージを受けます。壁際や植木鉢の傍など風が弱まる場所を選びましょう。

 屋内で育てる方法は現在試行中ですが、今まで試していないだけで実際には可能だと思います。光量が不足するのでLEDライトを当てるとよいでしょう。


○器

 湿度を保てる器ならいろいろなものが使えますが、ガラスなど透明なものは不向きだと思います。鉢の内側に光が当たると藻類が発生し、苔と競合する可能性があるからです(屋外の場合)。

 私は鉢底穴のある植木鉢と受け皿を使っていました。受け皿に常に水を張って、鉢底から水を吸わせるやり方です。ある程度成長するまでは特に乾燥に弱いので、苔呼びの初期にいい方法です。受け皿に水を溜めずに育てることももちろんできます。環境によって乾き方が違うのでお住まいに合った器を選んでください。


○土

 腐りにくく保水性の高い土を使います。赤玉土鹿沼土など粒々のものがいいですが、最近ケト土(泥に近い性質の土)でも呼べることが分かりました。

 土の代わりに石を使って生やすことも出来ます。表面に細かい凸凹のあるザラザラした石を使います。濡らすと水がしみる石がいいです。


○お世話

 水を切らさないようにして、生えてくるのを待ちます。朝夕に肌寒さを感じる季節が苔呼びに適していて、早ければ1〜2週間で苔が生えてきます。

 受け皿に水を溜めると水やりの頻度が少なくて済みますが、水が汚れるのでときどき入れ換えて洗うようにします。

 暑さや乾燥でダメージを受けることが多々あります。枯れたように見えても休眠しているだけの場合や、目に見えない大きさの組織が生き残っていることがあります。諦めずに湿度を保ちましょう。

 乾かないようにして気長に待つのがコツです。毎日数十秒だけでいいので様子を見るようにするといいです。水のあげ忘れ予防にもなります。

 土が落ち着いてくるとじきに苔が現れます。苔の芽生えはとても小さいので、ときどき器を持ち上げて探してみましょう。スマートフォンマクロレンズを使うと観察・記録がしやすくなります。スマートフォンマクロレンズは百円ショップで売っています。

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 世話を続けると苔のコロニーは少しずつ広がり、厚みも増してきます。枯れた部分が土台になるので取らないでおきましょう。雑草が生えてくることもありますが対処法に決まりはありません。苔好きな人には雑草好きも多いし、苔に小さな草が生えてくるのは小さな生態系を見るようで楽しいからです。