ランパントリウム

植物とおどろう

カニス

 こんばんは。

 実生イヌガヤは本葉が開き、樹木らしい姿になりました。

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 七個播いた種のうち芽が出たのは六個、生き残って苗に育ったのは四本です。

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 発芽したとき全員同じ側から芽が出たのですが、偶然でしょうか。種の向きは揃えましたがヘソの向きまで揃えた記憶はないのですが……。

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 葉の表側には一本の中肋(真ん中の筋のことです)、裏側に二本の気孔帯があります。葉の先は柔らかく、触れても痛くありません。これらはイヌガヤの特徴です。カヤの葉先は硬くて尖っており非常に痛いそうです。実物に触れたことはないですが、出会えた折には是非手のひらを軽く刺突し違いを味わいたいです。

 イヌガヤの名前の「イヌ」は役に立たないとか偽物という意味です。カヤに比べて実用性が低いことからこの名前がついたようですが、野生の植物と人間の繋がりが希薄になった現代ではあまりピンとこないネーミングです。

 ですが、縄文時代の遺跡からはイヌガヤ製の弓が出土しています。種からは油を取ることもできますし「カヤかと思ったらハズレだった。がっかりした」という扱いを受けつつも暮らしに取り入れられていたのではないかと思います。どちらも薄暗い森で育つため遠目には区別しづらかったでしょうし、当時は照葉樹林が多かったからです。

 これから先、イヌガヤが実用性の面で注目されることはおそらく無いでしょう。ですが、縄文時代から続く人と植物の関係を透かし見ることができます。そして、昔も今もイヌガヤそのものは変わらず生きているのです。