ランパントリウム

植物とおどろう

無限再生能力

 形を失いつつあるマテバシイの切り株を見つけた。幹は朽ち、平らな部分がない。公園内の木で、切られてから何年も経つのだと思う。

 外輪山のように残った根もと部分は生きており、ひこばえが生えていた。

 力強く天を目指している。

 ひこばえを生やすかどうかは木の種類である程度決まっている。マテバシイはどんどん生やす種類だが一方でほぼ生やさない木もいる。ひこばえを無限に生やせた方が何度でも再生できて安心のように思える。しかし生やさない木が実際にいる以上、生き延びるのには再生能力が全てではないのかもしれない。例えばひこばえを予備の幹と考えた場合、作り過ぎるのはエネルギーの無駄とも言える。

 ひこばえから木がどうリスクに備えているのか、どんな生存戦略を採っているのか想像すると、散歩道の街路樹もいつもと少し違って見えてくる。