ランパントリウム

植物とおどろう

歩き回るアカメガシワ

 こんばんは。

 紅葉が深まる季節ですが、電柱の脇のアカメガシワは元気に若葉を展開中です。

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 葉が赤いのは紅葉ではありません。葉を保護する毛の色です。

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 切り株から萌芽更新をしています。この太さからするとおそらく3メートルほどの樹高に達したことがあったのではないでしょうか?

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 樹皮には巻き込みがありません。アカメガシワは幹や枝を再生するつもりがないのかもしれません。というのは、彼らは根が発達しているからです。

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 以前に別の場所で撮ったアカメガシワです。根の成長するパワーでコンクリートを内側から破壊しています。

 伐られた幹を再生して大事に使う方が良いのか、新たに幹を作って自らを更新した方が良いのかは環境によります。アカメガシワの繁栄ぶりを見ると、街中では使い捨て方式の方が有利かもしれません。

 ブログ記事の題名をできるだけ英単語一語に統一していたのですが、自分で覚えづらいので日本語に戻しました。引き続きよろしくお願いします。

カモフラージュ

 こんばんは。

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 突然ですが、この写真に映っているものは何でしょうか?

 抽象絵画でしょうか。衛星写真でしょうか。



  ◆◆◆



 答えは「地衣類」です。カビやキノコと同じ真菌類で藻類と共生しています。

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 少し離れるとこのように見えます。コンクリートの汚れのようですが、ツブダイダイゴケという種類です。光合成をして生きています。

 街なかで苔を探していると地衣類に出会うことが多く、写真も少しずつ溜まっていきました。苔と似て非なる生き物、地衣類の世界をちょっと覗いてみましょう。


 これは木製のベンチに生えた地衣類です。

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 ツブダイダイゴケと比べると厚みがあり、かなり生き物っぽさがあります。枝状のものが生えていることからヤマトキゴケだと思われます。


 地衣類はときに物体を覆い尽くしていることがあります。

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 街路樹の支柱。ロープまで地衣類に覆われ、灰を被った後のようです。種類はわからないのですがキウメノキゴケかもしれません。


 樹上にいる地衣類で目立つのはウメノキゴケの仲間です。海藻のように縁が波打った形をしています。

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 桜の枝に生えたナミガタウメノキゴケです。

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 こちらもナミガタウメノキゴケです。ネムノキの幹にコロニーを作っています。

 地衣類は樹から栄養を奪っているのではありません。貼り付いているだけです。


 地衣類は至る所にいます。駐車場の壁や街路樹の幹など身近な場所に生えていて、一度存在を意識すると「え?これ全部生き物なの!?」という気持ちになります。見えていても気付かれない、ドラえもんの石ころ帽子みたいな生き物です。探す場合、まずは「コンクリートの汚れや樹皮の模様を見たら地衣類の存在を疑う」ことから始めると良いと思います。

 種類の同定にはこの本を参考にしました。

https://www.bun-ichi.co.jp/tabid/57/pdid/978-4-8299-8132-0/Default.aspx

キャピラリーアクション

 こんばんは。

 先週末から少し体調を崩し、植物の手入れが滞っています。苔を生やすことについても、無理をしても苔は生えないのでお休みです。

 今回は街で見かけた植物の写真を貼っていこうと思います。

 比較的最近整備された車道沿いを歩きました。昔は藪と崖でしたが、今では見晴らしのよい緩い坂道です。

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 吹き流しみたいな花弁が特徴の、ベニバナトキワマンサクが咲いていました。初夏に咲くとされていますが、秋に咲くこともよくあるようです。


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 シャリンバイに実がなっています。大気汚染に強いとされ車道沿いによく植えてある低木です。

 名前のシャリンとは、幹から放射状に伸びた葉柄が車輪のスポークに見えることからついた名前です(名前の由来は他にも諸説あります)。しかし、この個体やこの辺り一帯のシャリンバイは樹形が崩れあまり車輪らしくない姿でした。造成工事で入れた土の質がイマイチなのかもしれません。

 車道から脇道に入り住宅地を歩きます。公園で休みつつ、苔を探します。

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 植栽エリアと遊歩道の境い目に土嚢が積んでありました。苔が生えています。近づいてみましょう。

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 だいぶ年季の入った土嚢です。化学繊維が擦り切れて大地に還りつつあります。苔は中の砂利から生えて繊維の隙間をすり抜け、外側を覆っています。傷み具合と苔の繁茂ぶりから推察すると三、四年前からここにある土嚢ではないかと思います。

 放置された土嚢に苔が生えることは珍しくありません。土嚢が水分を保つこと、立体的な形のおかげで落葉に苔の光合成が阻害されないこと、繊維の毛細管現象が苔の生育にプラスに働くことが主な理由ではないでしょうか。苔を育てるうえで見習うべきことはこんなところにも隠れています。

ゾーン

 こんばんは。

 ブログの説明文を「〜はびこりの里〜」から「〜そこに、苔が生えているよ〜」に変更しました。これからもよろしくお願いします。


 照葉樹林探しがマイブームで、歩きながらシイの樹を探しています。シイの樹はブナ科の常緑広葉樹で、照葉樹林の主要な構成樹種の一つです。関東地方に多いのはスダジイやツブラジイという種類で神社やお寺に多いです。実を炒って食べたことのある人も多いでしょう。

 成長したシイはブロッコリーのような樹形です。遠くからでも見分けられますが木陰に入るとより特徴が際立ちます。枝葉のボリューム感をお伝えしたいので、パノラマ機能を使い公園のスダジイを撮影しました。

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 樹冠は厚くて暗く、見上げても眩しさをほとんど感じません。影の濃さが他の樹と違います。密生した分厚い葉が光を通さないためです。ドーム状の樹形なので建物の中にいるようで、天井が高く広々としています。

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 実がなっています。スダジイは葉の表と裏で色が違うのも特徴です。表は暗い緑、裏は金茶色をしています。

 写真のシイは開けた場所に植えてありますが、もともとは安定した深い森で育つ植物です。シイを観察することで苔を育てるヒントが得られるかもしれません。

ストラクチャー

 こんばんは。

 ゲームの話ですが、PSVITA真・ガンダム無双をしています。左スティックが傷んでいて勝手に右へ入力されてしまうため、操作が大変です。お気に入りの機体はギラ・ズールで、荷物を大量に背負っているシルエットなのが良いです。次回作ではガーベラ・テトラとベルティゴをプレイアブルにして欲しいです。


 街でいくつか印象的な樹を見ました。

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 擁壁の接合面からキリが生えています。キリは少ない土で生きる能力が高いらしく、街中でよく見かけます。葉が大きいのも特徴です。

 この場所の場合擁壁の奥に土があるのでしょうか。それとも、接合面の隙間に溜まった土だけが根のよすがになっているのでしょうか。街中で植物観察をしていると土木関連の知識の必要性を感じることがあります。

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 春に伐採されて数ヶ月、公園でクスノキの切り株が萌芽していました。枝のモコモコとした輪郭と明るいライムグリーンは、既にクスノキ樹冠そのものです。

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 写真の中央左下あたりに別の樹の葉が見えます。ケヤキでしょうか。この公園にはケヤキもあるので種が落ちて育ったのでしょう。

 広葉樹は切り株になっても再生するのが良いですね。


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 ソメイヨシノが支柱を飲み込みつつあります。支柱が支えていたはずが、立場が逆転しています。このまま数年経てば幹と一体化してしまうでしょう。こうなった場合、支柱を無理に取り外すと枯れてしまうことが多いそうです。


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 マツヨイグサの仲間が帯化しているのを見つけました。花が終わり実ができています。

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 茎にある成長点は文字通り一次元の点状で(厳密には球状)、何かの拍子に二次元の線状になると茎が帯や板のようになります。これが帯化と呼ばれる変異です。

 植物の体は動物に比べてシンプルで頑丈なため、イレギュラーな形状になっても実をつけるところまで漕ぎ着けることができます。


 セミの抜け殻を見ることが減ってきました。もうすぐ秋です。

ブロッサム

 こんばんは。

 道端で街路樹が花盛りです。その多くは葉に埋もれて咲く地味な存在ですが、実がなったり虫や鳥が集まる様子を見られることがあります。


 ネムノキ(落葉広葉高木、マメ科)の花からはどことなく南国情緒を感じます。

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 香りの良いと言われていますが、まだ嗅いだことはありません。


 ホソバタイサンボク(常緑広葉高木、モクレン科)は巨大な花を咲かせますかが、葉で隠れています。

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 真ん中の白いものがホソバタイサンボクの花です。花に負けないほど葉も大きく、下から見上げた場合の視認は困難です。離れた場所から、裏表で色の違う大きな葉を目印に探す方が良いでしょう。

 花が散ったあと、根もとにアーティチョークのようなものが落ちていることがよくあります。受粉しなかった雌蕊と周囲のパーツが取れて落ちたものです。近縁のコブシやモクレンに比べると実ができにくいようです。


 ナンキンハゼ(落葉広葉高木、トウダイグサ科)の花は地味で、花だと言われないと気づかない形をしています。

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 分かりづらいですが花盛りです。

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 枝の先にある、黄色っぽい尻尾のようなものが花の集合体です。

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 房になった黄色いのが雄花で、雌花は根もとにあります。この写真では既に実を結んでいます。

 実は熟すと黒くなってから割れ、中から蝋に包まれた種が露わになります。これは前の冬に撮った実の写真です。

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 毎年大晦日近くになると、何種類かの鳥たちが種をついばむのを見かけます。大量に実るうえに公園や道沿いにまとまって植えてあるので、餌場になるのだと思います。

 鳥たちは可愛らしいですが、ナンキンハゼを街路樹として選んだ人——公園や街路の設計者——はこの事態を予測していたのでしょうか。鳥の糞から発芽したと思しきナンキンハゼを見つけると、この樹は設計者の制御から離れつつあるように思えます。

 当ブログは植物のはびこる力を追いかけていますが、無秩序な繁殖を肯定しているわけではありません。ナンキンハゼは丈夫で美しい樹ですが、眺めていると人と植物の共生の難しさを思いほろ苦い気持ちになります。

ゲイザー

 こんばんは。

 公園のアジサイが花盛りです。

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 最近、植物の写真を撮るときは思い切り近づくといいと聞き、道端で試しています。

 電柱の隣に生えていたアカメガシワです。

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 葉には蜜を出す腺があり、よくアリがたかっています。写真のアリも葉を舐めているように見えます。

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 蕾ができています。アカメガシワの花は雌雄異花だそうです。


 金網に絡みついたヤブカラシが花を咲かせていました。

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 雑草としては手強いですが、花はかわいいですね。咲き方や花序の形にブドウ科らしさが隠れています。


 タイトゴメの仲間が電力設備とアスファルトの隙間に生えていました。

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 道端で暮らす小さな多肉植物です。


 植物の写真を撮るのは難しいな、と思います。例えば猫の写真だと、自然と猫の目に視線が集中するものだと思います。植物の場合写真を見る人がどこを見るのか、よくわかりません。思い切り近づく撮影方には、撮影者が見せたいものを伝えやすくする効果があります。

 この方法だと樹の枝の分岐を伝えるのは難しそうです。

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 カタヒバをクローズアップしたところすが、ほぼ一定の角度で二本に分かれるのを繰り返しているのがご覧いただけるでしょうか?分岐とは抽象的なもの、ある意味アルゴリズムみたいなものです。カタヒバは仮軸分枝という枝分かれの方式を持っていて、植物の種類によっていろいろな枝分かれのアルゴリズムがあります。

 環境という問いに枝分かれで答えているのが植物という生き物だと思います。