ランパントリウム

植物とおどろう

結晶

イヌガヤの植え替えをした。 規則正しく並んだ枝葉が結晶構造のようで美しい。針葉樹には静謐な美しさがある。イヌガヤは成長が遅く、結晶らしくゆっくりと大きくなっていく。

イヌワラビの前葉体

外に出るとぬるくて生臭い風が吹いていた。冬の間朽ちずに留まっていたものたちが綻んでいく、春特有の匂いだ。園芸家の場合、春に追いつかれる前に植え替えを済ませないといけない。植え替えは梅雨や秋でも一応何とかなるが。 植え替え等で疲弊したときは胞…

シクラメンの思い出

ガーデンシクラメンの花がどんどん咲いている。 新しい根も生えてきた。 シクラメンの根の成長を初めて見た。根が見える植え方にしてよかった。 「花もの」にはピンと来ないことが多いけれど、シクラメンには思い出があるので育てている。折にふれよみがえる…

アルドラ観察日記『冬の青海波』

ヤブソテツの葉を裏返したら、青海波に似た紋様が浮かんでいた。ヤブソテツは街なかでも見られる身近なシダ。アルドラにも自然に生えてきた。 田中徹の著書「花の果て、草木の果て」によると真冬に起きる現象らしい。 紋様そのものはヤブソテツの葉脈なのだ…

鉢の改造

浅い鉢が欲しかったのでプラスチック鉢を改造して作成した。市販の鉢は深いものばかりだ。 タワーのような鉢を糸鋸で切断。 鉢底穴が足りない鉢には穴を増設した。ピンバイスで円く小穴を開け、 小穴同士を切って繋げる。 穴の大きさは山野草鉢のバランスを…

アルドラ観察日記『夜』

昨日も今日も暖かった。外で作業していたら少し暑いくらいだった。 全体的に土の乾く周期が短くなってきた。芽吹きを前に根の活動が高まっているのかもしれない。 植物には光周性という仕組みがあり、夜の長さをもとに季節を測っている。夜の暗さは昼の明る…

雑草の花

雑草の花が道端や空き地で咲いていた。冬の間も少しずつ成長し力を蓄えていたのだろう。 オオイヌノフグリの花。 日当たりのいい場所でポツポツ咲いていた。この植物は虫が来なくても自家受粉する仕組みを備えている。 ハルジオンの花。 ツボミが下を向いて…

イヌワラビの庭

去年のクリスマスにイヌワラビの胞子を播いた。アルドラをイヌワラビでいっぱいにするのを今年の目標にしている。今朝見たら前葉体に成長していた。 人はひとり一つずつ庭を持つべきではないだろうか。植木鉢一つ分の広さでもいい。自分にとっての意味と価値…

アルドラ観察日記『イチイ』

昨日職場のイチイが剪定されていて、許可を得て枝を貰ってきた。適期には少し早いが挿し木を試みた。強く伸びた枝なので体力は十分あると見ている。 一晩水を吸わせ、下ごしらえにかかる。低い位置の小枝や葉は埋まってしまうので切る。切り口の周りを斜めに…

アルドラ観察日記『苔の花』

強風で鉢の土がかなり乾いていた。冬は水はけが悪くなるからたまには乾燥するも悪くない。 ガーデンシクラメンの鉢の苔が蒴を生やしていた。この苔は自然に生えてきたもの。ガーデンシクラメンと環境の好みが同じなのだと思われる。 去年の秋に植え替えをし…

アルドラ観察日記

胸くらいの樹高のコブシが植えてある公園を見つけた。花の観察がしやすそうだ。 春の兆しが少しでも見つからないかと思い、ウバメガシの冬芽を観察した。 変化は見つからなかったが、芽鱗(がりん)が上質な家具のような色合いだとわかった。 まるで木目のよ…

アルドラ観察日記

昼過ぎからくしゃみと鼻水が止まらなくなり大変だった。去年の1月15日も花粉症で具合が悪くなっており、杉の律儀さを思い知る。 アオギリの葉痕を写真に撮ったら、幹にきらきら星の模様みたいなものがあることに気づいた。 よく見ると平面ではなく厚みが…

アルドラ観察日記

ベランダの一角に作った植物栽培スペースをアルドラと呼んでいる。個々の植物とは別にアルドラ全体を観察し、天気などと一緒に記録することにした。 今日は季節外れの暖かさと雨降りで、空気が生ぬるかった。例年だと雪が降る時期だと思うのだけど。 モミジ…

デンドロビウムの花

今年もデンドロビウム・グリーン愛が咲いた。二年前のエントリーで「片割れB」と呼んだ株で、今は「エア植えデンドロ」と呼んでいる。 https://rampantrium.hatenablog.com/entry/2020/07/28/210000 今年の初夏、浅い鉢に植え替えた。夏になると半透明な緑…

紅葉と苔

今年の秋は暖かかった。そのせいかコナラの紅葉が去年より遅い。 去年の今頃は葉の真ん中まで赤くなっていた。十二月に入ってから急に寒くなったので紅葉も進むだろう。 約一年九ヶ月ぶりに「#人造裏庭2019」の話。 https://rampantrium.hatenablog.com/entr…

重石の地衣類

ノボリを立てるコンクリート製の重石には、地衣類が生えていることがある。黄色やオレンジ色のまだら模様に見えるのが地衣類。 このような重石は通り沿いの開けた場所に置いてあることが多く、地衣類からすると光合成に都合がいいのだろう。 ルーペを使うと…

シェフレラ

同じ植物でも野生のものと人に管理されたものとでは姿が違ってくる。なかには野生の姿が半ば忘れられた植物も存在している。 今年の一月に斑入りシェフレラを買い求めた。緑と斑のクリーム色のコントラストがうつくしい。 剪定して外で育てたところ、お釣り…

力の分散

去年の秋にシラカシのドングリを播いた。今は苗木になっている。一緒に植えたアオギリは葉が色づいてきたがシラカシは常緑樹なので青いままだ。 葉が青くて細いのがシラカシ、先の尖ったハート形の方がアオギリ。 ドングリはころころとして小石のようだが発…

ウメノキゴケ

民家に挟まれた谷底の遊歩道に、ドーナツ状の地衣類のコロニーがある。ネムノキの幹に着生している。 裂芽があり、フチが反っている。ウメノキゴケだろう。 三年前にも同じコロニーを写真に撮っていた。この樹種は枝が少なく、ウメノキゴケはガラ空きの懐で…

室内のシダたち

去年植え替えを報告したシダたち。 https://rampantrium.hatenablog.com/entry/2021/10/17/210000 まだ良い鉢を見つけられず、買ったときの鉢で育てている。 当時の葉はほとんど枯れ、新しい葉に交代していった。 値札シールを一年間貼ったままだった。鉢の…

キンモクセイ

キンモクセイの香りが漂ってくると本格的に秋なのだと感じさせられる。国内のキンモクセイは実ができないため、見かけるのはほぼ全て人が植えたものだ。身近だけどよく見たことが無いので観察することにした。 甘い香りを辿ると遊歩道に出た。キンモクセイが…

苔と石と水

苔石の管理を始めてから5年が経った。 開始が2017年なのでこのブログを始めるより前になる。石に水を毎日かけたら苔が生えてくるのではないかと思い、試してみることにしたのだった。 はじめは水に浸した状態にしていたのだが、淀むのでやめた。2019年の夏…

コゴミ記録

一月末ごろからコゴミを育てている。山菜として食されることもあるシダ植物の一種だ。標準和名はクサソテツと言う。 掘り上げた苗がビニール袋に入った状態で販売されていた。チューリップの球根に近い販売形態で、他にも数種類の袋入り山菜が店頭に並んでい…

ネムノキの花と葉

ネムノキの花が咲いた。ネムノキは6本育てている。咲いたのは一番大きな木だ。 他のマメ科、例えばフジなんかとは違う花火のような花。開いた日の翌日にはしおれてしまう。 以前ネムノキ関連のエントリーで「花が咲くのは2030年になりそう」と書いた。…

ローリアリティ

シダを見ていると細かいことがどうでもよくなってくる。 特にイヌワラビはどうでもよくさせパワーに富んでいる。 コンクリートの隙間などからよく生えている。↓ワラビ イヌワラビは食用にならないワラビという意味の名前だけど、見た目はあまり似ていない。…

ミニ空き地

ヤブカラシを植えた鉢のその後。 https://rampantrium.hatenablog.com/entry/2021/09/26/210000 ここは雑草専用の鉢に決め、ヨモギやオオアレチノギクなどを植えた。 白っぽい葉をつけているのがヨモギ。調べたらヨモギは風媒花なので他のキク科の植物より花…

戻ってき続ける

三月。道端でイタドリを見つけた。 イタドリはいわゆるパイオニア植物の一つとされている。火山噴火で全てが灰燼に帰した土地にも生え、生態系の礎を作るという。 何となく気になって同じ道を通るたびに覗いていた。 九月には花が咲いた。意外と可憐な花だっ…

シダの植え替え

五月、室内で育てる用のシダを買った。 左上から時計回りに「ネフロレピシス・マリサ」「プテリス・ロウェリー」「プテリス・トリカラー」「フレポディウム・ブルースター」。フレポディウムはフレボディウムの誤記だろうか。商品名だからそういうこともある…

ヤブカラシを植える

唐突だがこのエントリーから文体を変えることにした。丁寧語で書くと体力を消耗するためだ。 大切なのは苔が生すように書き続けることだ。文を書くこと自体が苦痛になっては長続きなど望めない。どんな愉快な話でも書かなくては誰にも読まれない。 今までよ…

根っこ見学者 〜白砂青松編〜

公園の松林を見に行ってきました。海が近く防風林として松が植えてあります。 根が地面より上にある状態を根上りと言います(街路樹の根で舗装が持ち上がった状態を根上りと呼ぶこともあります)。 しゃがむとくぐれそうなくらい持ち上がった根。隣の白い幹…